たまにはまじめにいいですか?

ちょっとまじめに考えちゃったこと。MSNのブログにアップしたけど、けっこうまじめな論考だと思うので、こっちにもコピペします。


銀山温泉で考えた。あのどうひいき目で見ても街並みから浮いているF屋。銀山温泉は情緒溢れる温泉街だった。ただ街並みに関していうと、あの女将が経営する「F屋」だけは違っていた。有名建築家の設計で間伐材の格子で覆われた外観は、なんとなく人を寄せ付けないオーラを感じた。入り口の水の張った玄関と御影石は、「○○西洋美術館」て感じだ。他の旅館は内部の古いものや、外壁の漆喰絵を眺めてほぉと声も出るが、藤屋に関しては覗いたり立ち止まって眺めてはいかんのかと思ってしまう。
古く500有余年の歴史のある地なのだから、新しいものを取り入れる場合、その歴史的背景を十分加味しないと、単なるモダニズム・ジャパネスクでは、街並みや歴史との間に齟齬を感じる。せめて柿渋かなんかで色調を合わせたらよかったか。まぁ、建築家は「時がたてば外壁の色彩も変化し、街並みに溶け込む」と切り返すだろうが、経営者としては何年も待っていては売り上げも下がって、閉業の危機に追い込まれてしまうのだ。
建物を横から覗き込んでよく見ると、周囲の旅館と同じような漆喰絵がひとつ着いていた。それはモダン建築で完全オートマチック化したマンションの中で、これ見よがしに「和を取り入れてみました」とばかりの、4畳半の琉球畳の一角のような存在だ。
外来湯もなく宿泊料金は一人3万円台から。御湯は一組の客が入るたびに清掃するという。じゃあ、最後の客はどんだけ待つのだ。まどろっこしい。そんな面倒くさいお風呂じゃ寛げないよ。
しかし一番大変なのは、頑固建築家の押し通された女将だろうなあ・・・。